姉咲たくみ

姉咲たくみ

プロフィール

2013年
長岡造形大学大学院 造形研究科修士課程 建築学領域修了
同年、ANOMaLY studio設立
2017年
「反重力建築展」個展、東京、アートコンプレックスセンター
2020年
「悪の建築展 最終章:大祭」個人企画、東京アーツ千代田3331

インタビュー

あなたにとって、美術 / 制作することとは何でしょうか。

誰も見たことがない世界を見せることです。
私の場合は、ストーリー性が強い作品を制作しています。特に作品は、建築物がカオスに固まった摩訶不思議な建築を描いています。
扱うモチーフは同じでも、ストーリーを変えることで、作品は違うものになります。
そして、誰も見たことがないような世界を画面(キャンバス)に描くことで、未知なる体験を鑑賞する方々にお見せしています。
私にとっての制作は映画を作ってる事に1番近いです。作品はアートボードで、そこから小説や映像などに展開できる仕組みを持たせています。

いつから美術に興味を持たれたのでしょうか。

子どもの頃から絵は好きでした。
小学生の頃はゲームが大好きな子どもでした。
自由帳には、ゲームのステージデザイン(2D)を描いたりしながら、過ごしていました。
次第に規模の大きなステージデザインを描くようになると、自由帳ではページ数が足りなくなるので、50ページから100ページのノートに描いていました。
中学生になると、本格的にキャラクターや世界観を描いていました。中でもファイナルファンタジーのイラストを手掛けている上国料勇さんの世界観に憧れて、ファンタジーの世界を描きました。
その後はゲーム意外でも映画の背景やアニメなどに興味を持って、模写やオリジナルの世界を描くようになりました。

アートに限らず影響を受けたクリエイターはいますか。

いっぱいいますね。
背景デザインでは上国料勇さん、ストーリーや世界観は村瀬修功さん(ウィッチ・ハンター・ロビン、エルゴプラクシーなどのダーク系で濃いストーリーを手掛けるアニメーション監督、近年は機動戦士ガンダム:閃光のハサウェイを監督)です。
ただ作家活動を始めるにあたり、今の制作活動に最も影響を受けたのは、ゲームクリエイターの小島秀夫監督(代表作:メタルギア)さんです。
現代社会における問題などをゲームに取り入れる。映画のような見せ方、それらは私の今の制作に大きく影響を与えられました。
最近では2019年に発売された『デス・ストランディング』はノーマン・リーダスをはじめ、名だたる俳優が登場するゲームを作りました。内容も難解ながら、現代社会の問題を入れながら、「え?そんなのできるの!?」と驚かされるような要素が入っています。

転機となった作品があれば教えてください。

2017年に制作した『西の連邦首都ニコラベエナ』です。
この作品を描く前は、ペン先は0.05を使っていました。ちょうどこの頃は、技術を上げなければいけないと考えており、色々と奮闘していました。
特に、この作品に求めたのは最も細かい描写でした。そこでペン先を0.05から0.03に変えました。0.03は線が細すぎて、使いにくく、避けていました。ただ、ちゃんと使うと濃淡や細かさは、それまで悩んでいた技術を一気に向上しました。
カッコよく言うと技術的特異点(シン・ギュラリティー)に到達、以降はペン先を0.03で描いています。
ちなみにこの作品は現在中国のコレクターさんが所有しています。いい作品なんですけど、海を渡った先にあります。しかし、嬉しい事にコレクターさんが最近ギャラリーをオープンしました。そこで複製原画として『西の連邦首都ニコラベエナ』を取り扱っています。ご興味ある方はご相談ください。

  • 梅田綾香
今後、作家としてどのような活動の展開を考えていらっしゃいますか。
今後の展望や今挑戦されていることなどありましたら、お聞かせください。

現在は新しいプロジェクトに向けて進めつつあります。その内容は「地球外知的生命体建築」、通称SETIA(Search for Extra Terrestrial Intelligence Architecture)をテーマとした研究を始めました。
近年の宇宙分野は大きく発展しつつあります。同時に人類以外の知的生命は存在するのか?と考える人は多いと思います。現在の研究では、この宇宙には36の文明があるのではないかと言われています。
文明があるなら、当然「建築」があります。SETIAはその文明がどんなものなのか、また彼らはどれくらいの文明レベルを持っているのかを研究しています。そして、それをアートにする事で宇宙分野に関わっていきたいと考えています。