フジシマトム

フジシマトム

プロフィール

香川県生まれ。デザイン系の専門学校を卒業後、独学で絵画を学ぶ。
グラフィックデザイナー、イラストレーターを経て、アーティストとして創作活動を始める。
"創作のインスピレーションは全てのもの。地球に宿る美" その作品は画家の眼で捉えた世界のエネルギーを描き出す。
技法、スタイルには捉われず。対象を映し出すためにあらゆる可能性を模索する。
ミクストメディア作品で独自の表現を確立。

インタビュー

あなたにとって、美術 / 制作することとは何でしょうか。

私にとっての美術、制作することとは、自分が感動したものを形にすること。
制作する目的は、見えるものと見えないものの境界線が織りなす瞬間を描くことです。

実際に描かれたイメージよりも、それを観た人の心の中のイメージを限りなく広くする為に、着想したときに必要と思われた様々なモチーフが、本当に必要なのか不要なのか、徹底的に検証します。詩や俳句のように、そぎ落とされた表現を目指しているからです。
全てを描くのではなく、描くものと描かれなかったもの、その間に生まれる表現を追求したいと思っています。
作品を観た人の心に浮かぶものが美術の本質だと思うからです。

いつから美術に興味を持たれたのでしょうか。

生まれが香川県の琴平町というところで、金毘羅山があり、神社仏閣に囲まれた土地でした。
身近にたいへん立派な木造建築や彫刻、絵画などがあって、その土地の空気を生まれた時から呼吸するように吸収してきた。
それが自分のルーツになっていると思います。

また、子供の頃から多くの本や美術館で偉大な画家の作品を見て過ごしてきました。
小学生の時は両親にねだって美術全集を買ってもらい、いつも眺めていました。
その頃に特に惹かれたのはロマン派や印象派の作品です。
モチーフや美しさに魅力を感じていました。
小さい頃から絵ばかり描いて過ごしていました。

アートに限らず影響を受けたクリエイターはいますか。

絵画表現が好きなので、やはり画家になってしまいますが、創作について影響を受けたものはエミリー・カーメ・ウングワレーのアボリジナルアートや民藝、アルテ・ポーヴェラなどの表現です。
また、伝統的な絵画、特に日本美術に強く影響を受けています。
長谷川等伯や尾形光琳をはじめとする琳派など日本美術に脈々と受け継がれてきた美の表現とその精神を尊敬しています。

転機となった作品があれば教えてください。

「HOUSE Ⅱ」という作品です。宮沢賢治の銀河鉄道の夜をテーマにした作品ですが、宇宙をテーマにしながら石や土、大地に息づく生命のエネルギーとしての微生物や植物の根などをモチーフに描きました。
賢治が思い描いた宇宙が耕された土の中から生まれたのではないかと思ったのがきっかけです。

作品を創っていく過程で地球をミクロに捉えていくことがそのまま宇宙に繋がっていくという事を感覚的にも感じることが出来ましたし、絵画としても表現できたように感じています。
そこから有機物も無機物も含めて地球上のあらゆるものから感じられる生命の美しさを作品のテーマとして描くことが多くなりました。

作品はこちら

今後、作家としてどのような活動の展開を考えていらっしゃいますか。
今後の展望や今挑戦されていることなどありましたら、お聞かせください。

どのような形であれ、表現するという事に携わっていきたいと考えています。
とにかく描くことを止めないこと、続けていくことにこだわって作品と向き合っていきたいと考えています。
続けることをイメージにした作品が「one small one」というシリーズ作品です。
このシリーズでは1000枚の連作を予定しています。
これらはカード型の小さな作品ですが自分の中の絵画のルーツや絵画との対話を即興的に表現した作品です。
個々の作品が群れとなることで自身の絵画に対する尊敬の念や思考の軌跡が形になるのではと考えて取り組んでいます。
「one small one」で捉えたイメージをさらに大きな作品として再構築していく機会もあると考えています。

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