高山夏希「推力の鳴く弧の此方」
「⼈⽣はおそらくまるく完全だ」(ヴァン・ゴッホ) 本展では、画家のヴァン・ゴッホの⾔葉を起点として制作した作品群を展⽰する。
このゴッホの⾔葉は、 バシュラールの著書『空間の詩学』において<円の現象学>について論じるなかで取り上げられている。
ヤスパースの⾔葉《Jedes Dasein scheint in sich rund》(現存はみなそれぞれにまるくまとまっているよう にみえる)をはじめとして、ブスケ、ゴッホ、ラ・フォンテーヌらも、それぞれ独⾃に<⽣の円>につい ての⾔葉を残している。
彼らは直感的に⽣をまるさ、あるいは円としてイメージしているのだ。
バシュラ ールは彼らの超⼼理的な⾔葉を、判断し、愛し、わがものとするためには、現象学の態度をとらなければ ならないと述べている。
私も、これらの⾔葉が持つイメージに共感しつつ、独⾃に世界のまるさについて イメージを持っている。
人・イキモノ・モノ・環境が切り離されることなく、まるで⽺⽔に浸透しているように、 内も外も境界なく繋がり合った「まるい内包」。
このような世界観を、円形の⽀持体の上に⽴ち上げるよ うにして、<⽣の円>を表現するよう試みる。
本作品群では、「⼈⽣はおそらくまるく完全だ」というゴッホの⾔葉を、潤沢なイメージの泉として、⽔鏡に映し出すようにして連鎖させてゆく。
INTERVIEW
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